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目的と方法 (「チーム・バチスタの栄光」海堂 尊) [ひと/本]

冬休み課題図書シリーズその1。

チーム・バチスタの栄光(下) 「このミス」大賞シリーズ (宝島社文庫 600) (宝島社文庫 (600))

面白かった。前評判通り。

ところでこの面白さって、何かに似ているなぁ、と思った。
根本的な文章のうまさや構成力、キャラクターの妙、と云う部分の水準の高さが、一般的な「エンタテインメント小説を読む楽しみ」と云うのをたっぷり与えてくれる、と云うのはあると思う。明瞭な構成とキャラクターたちが力強く読者を牽引して、ジェットコースター状態に引きずり込む。上下巻としてそれほどボリュームのある小説ではないにせよ、止まらないので読了はあっという間だ。

でも、本質は多分そこだけではなくて。
現在の大学病院医療が抱える問題、遺体の解剖ができないゆえに生じる問題、そして「医療に悪意が入り込むこと」の問題。これは「エンタテインメント小説を読む楽しみ」とは別次元のものだけれど、でも、それは不可分なものとして同時に読者に提示され、ジェットコースター状態にある読者のあたまに渾然一体となって届けられる。

で、ぼくはふつうはちょっと結びつかないようなある作家との類似に、少しだけ思いを馳せる。
「ハードボイルドを通じた啓蒙を武器として、児童虐待問題と闘う弁護士」アンドリュー・ヴァクスと。

精緻なディテイルの魅力、登場人物の魅力。ヴァクスはそれほど明示的なユーモア・センスはないけれど(だってバークはああ云うやつだし)、それを除くとそこにある魅力はけっこう似ている。
問題把握力と問題意識、そしてあくまでエンタテインメント作家としての力量。これが多分個性でもあり、これだけの面白さを提供する源泉でもあるんだろう。


タグ:書評 海堂尊
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