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Don't be Rock, just Do (praisin' SCANDAL) [音楽あれこれ]

もうリリース後2か月も経っているので、レビューでもなんでもないんだけど。

ロック、ってなんだろうなぁ、みたいに考えたりすることがある。世代的に。

ロックがロックと呼ばれる、そのままの音楽でいることができた時代があって。そのあとに、ロックがロックとしてできることを広げてきた時代が来て。そしてぼくが音楽を聴く、と云うのを始めたのは、そのあとの時代。ロックがロックであることとはどう云うことか、ロックであるための境界線はどこにあるのか(そもそも存在するのか)が問われた時代で。

そしていまはさらに、そこから30年も経っている。ロックは数々の批評的なアプローチを経て解体され、だれにでも利用可能な音楽表現上のイディオムにまで分解されている。ロックであること、は音楽表現における選択可能な表現形態のひとパターンとして、いったん命脈を絶たれたうえで、あらためて別の(凍結された)永遠の命を得たような状況にある。
いまでもそれらのイディオムはかつてロックが担ってきた文化上の位置を引きずっているけれど、でもそれはもう伝統芸能的な意味合いにしかなっていない。ロックが反抗の音楽だ、みたいに素朴に捉えている向きはいまでもいる様子だけど、それは単にそう云う時代があったことを、そのイディオムを通じて引用している、と云う以外のことでは、じっさいはない。

ただ、ロックバンド、と云うものは、もうすこし違った意味合いを帯びる。いまでも。
自分たちを表現の主体として、自分たちの表現を自分たちだけで完結させうる集団。必要なら曲もつくるし、ことばも紡ぐ(そう、「表現上の必要に応じて」)。おそらくはビートルズがそうであったことからポピュラーになったとおぼしき、音楽をつくるうえでのありかた。むしろこれはロックバンドであること、と云うよりは、よりシンプルに「バンドであること」の意味として、いまも残っているように思う。

さてまぁ、SCANDAL。
どれだけロックのイディオムを用いても、まぁ彼女たちはロックバンドではないだろう。それはその出自に因る部分でもあるし、その受け入れられ方による部分でもあって。そこの部分については多くの「ロックバンド」を名乗る音楽グループよりも、まず彼女たち自身がより一層自覚的でもあるし、そのぶんだけ意識的でもあるわけで。結果としてそこには、巧まざる批評性、と云うものまでが立ちあらわれる。
与えられた状況とできうることの制約のなかで、どこまでも表現の主体と云う立ち位置を与えられてきたところから生まれる、バンドであるがゆえの一種逆説的な意味での「自然体」。

そこに当初からプロデュースする側のなんらかの意図があったのかどうかはわからないけれど、彼女たちはろくすっぽ演奏もできなかったメジャーデビュー前から、作詞という側面で自分たちの曲に参画する機会を与えられてきた。共作を含めると、インディーズ時代を含めた14曲のシングルのなかで、12曲の作詞のクレジットにメンバーの名前が刻まれている。
おとなたちの企画によってつくられたバンド、であっても。そこで表現されるものはずっと、彼女たちのなかから生まれてきたものを軸のひとつとして内包するもの、だった。そのことの意味。



半年ほど前。
この国のありとあらゆるものが今後影響を受けずにいられないような、大きなできごとがあって。経済も、学術も、そして芸術表現も。
多くのミュージシャン(そして「ロック」ミュージシャンたち)も、当然ながらそこから離れてはいられなかった状況が、厳然としてあった。積極的に、ではないけれど、その様子をぼくもいくらか見ていた。
そのなかのひとつ。あの災害を受けて彼女たちが自分たちの作詞・作曲でうたったのが、このアルバムに収められた"Very Special"。



メンバーのなかでただひとり「天賦の才」と云うことばを連想させる(そして幼かったとは云え、阪神・淡路大震災の被災者でもある)ベースのTOMOMIによるこの曲の歌詞は、ことばの正確な意味で等身大、だ。背筋をまっすぐに伸ばし、すこし爪先立ちしてきっちりと目を見開き、自分の目でそこに見えるものを誠実に見据えることから生まれる、ことば。表現に携わるもの、みずからの感じ取ったことをほかのひとたちに伝える手段を持ち、職業上それを伝える場所を持つものとしての強靭な自覚。

ロックであること、なんかは、もう今の時代どうでもいい。ロックであろうとすること、それを自認することそのものがほとんどの場合、いまや欺瞞でしかない。
でも、かつてその「ロックであること」が持っていたどんなエッセンスに、ぼくたちは魅せられてきたんだろう。いま「ロック」を名乗るミュージシャンをほとんど聴かないぼくは、そんなことを考えたりする。
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