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おやすみ、兄貴 [音楽あれこれ]

グレン・フライが亡くなった。体調を崩していることも知らなかった。
でもまぁ、こどものころの師匠筋、みたいなミュージシャンが亡くなっていくくらいには、ぼくも年齢を重ねた、と云う話で、それは不思議なことではないのだけれど。

中学生の頃に、ライヴアルバムを聴いて、ぼくはイーグルスを好きになった。と云うことはHell Freezes Over以前の、再起動する前のオリジナルのイーグルスのアルバムは出切ったあとで。それからたぶん1年くらいかけてぼくはアルバムをすべてそろえて、何度も何度も聴いた。

ある程度親しんできたかたにはおわかりだろうと思うけれども、イーグルスと云うのはおよそキャリアを通じた音楽性に一貫したものが薄いバンドで。でもまぁ、そこに散りばめられたいろいろな要素が(それぞれは個別の、あまり関連しないものだとしても)それからのぼくが音楽に触れるためのいろんなヒントをくれていた、というようなこともまぁ、あるのかもしれない、みたいにも思う。

グレンのソロアルバム、Soul Searchin'を買ってはじめて聴いた時に、どうしてぼくはこの曲にあれほどの感銘を受けたのだろう。



たぶん、その感銘のもとになるなにかしらの(黒人音楽的なものに触れた時に発動する)要素を、イーグルスの曲を通じてグレンがぼくに植え付けていた、と云うことなんだろうな。マッスル・ショールズで録音した、みたいな話もあるみたいだけど、そう云われるとそんなふうにも聴こえる。

いいヴォーカリストだったと思うけど、(ドン・ヘンリーがそうであるような)すごいヴォーカリスト、ではない。ごきげんなギタリストではあるけれど(ジョー・ウォルシュやドン・フェルダーみたいな)ギター・ヒーローでは間違っても、ない。それでも、すてきなミュージシャンではあったと思う。そのあたりの、なんと云うかほどよさ加減みたいなのが、彼の持ち味だったのかもしれない(イーグルスにはなんと云うか、けっこうどうでもいい曲もあるのだけれど、そう云う曲に彼を主体としたものはあまりない)。
まぁそのあたり、ディヴィッド・ボウイほどのリアクションが世間から得られないのも当然ではあるのだろうけどね。

そう云うわけで、ぼくにとっては「昔好きだったミュージシャン」以上のものではなかったんだけど、ディスコグラフィを確認してみると、去年出たらしい(出たのさえ知らなかった)カヴァー・アルバムを除くと、どうやら彼のソロアルバムはみんな持ってるみたいだ。好きだった、じゃなくて、大好きだったんだなおいら。

グレンの死に際してドン・ヘンリーが出したコメントの翻訳を読んだ。
しかし、すべてはグレン・フライから始まりました。彼が点火プラグであり、彼にはアイディアがありました。グレン・フライにはポップ・ミュージックに対して百科事典のような知識を持っており、常に勤勉さを失いませんでした。彼は面白く、頑固で、頭の回転が速く、寛大で、才能に溢れた信念の人でした。
そうだったんだろうな。いずれにせよ、彼はぼくに音楽についていくらか教えてくれた、兄貴みたいなもんだったんだろうな、みたいに思う。
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