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英雄 [ひと/本]

なんと云うか、どうしても英雄に惹かれるような心理がある。

エルネスト・“チェ”・ゲバラの魅力の相当部分は、その極めつけにハンサムな容貌にある、と思う。それでも、その生き方のとてつもない美しさに、少なくともぼくはどうしても惹き付けられる。
随分と欠点だらけで、でもその欠点までが彼の壮絶な魅力に繋がる。

チェ・ゲバラの遥かな旅 (集英社文庫)

チェ・ゲバラの遥かな旅 (集英社文庫)

  • 作者: 戸井 十月
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2004/10
  • メディア: 文庫
彼が例えばポル・ポトと、スターリンと、どう違うのか。毛沢東と、どう違うのか。チトーと、ホーチミンと、どこが重なるのか。

本当のところは分からない。でも、彼の持つ物語は、ひとと云うものがこうあることができたら、と云うような憧れを掻き立てる。それは一面、危険なことではあるのだけれど。

チェは自分の持つすべての美しさを持ったまま、武骨に世を去って、そして(本人がそう望んだとは思わないけれど)アイコンになった。でも、彼の(本当に伍すべき)相棒は生きたまま、そして偶像化を強く拒んだまま、もう少し薄汚れたアイコンとして世を去ろうとしている。

冒険者カストロ (集英社文庫)

冒険者カストロ (集英社文庫)

  • 作者: 佐々木 譲
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2005/11/18
  • メディア: 文庫
知性、実行力、そしてユーモア。それらを恐ろしく極端でバランスを欠いた逸脱したかたちで裡に持ち、そして置かれるべき場所に置かれた男たち。

ぼくたちはほんとうは、こんな連中に憧れるべきではないと思う。その危うさを、全力で意識し続けるようぼくたちは努めるべきだ。
それでも、美しさを、靭さを求めてやまない愚かさも、ぼくたちの本質なんだろうけれど。


タグ:雑談 書評
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